Vol.1 雑草〜疎まれてなお生きるもの〜

ミナミヒロシマ市。親父さんの遺書に残ってた地図によるとここであってるんだな。
そこには家の残骸が残っていた。
周りには屋台がいくつかあり、人が少しずつ前に進み始めた明るさが伝わってくる。
屋台のおじさんに道具を借りて、残骸をどかしていくと地下室への入り口と思われる階段を見つけた。
中は暗かったが、崩壊は別に気になったところはなかった。

奥にあったのは写真と本、それに一枚のメモだった。
「親父、母さん…」
研究所での写真だった。親父さんも白衣をきて映っている。
親父さんも研究員だったのだ。
本は、日記帳だった。
ぱらぱらと読んでいくと、その日も日記はかかれていた。

『2020年 2月29日』
4年に1度しかないその日だった。
実験最中に研究員1人がテロを決行。
転移システムの中枢であるZERO-CODEを破壊。
その結果、世界の時空バランスが決壊。
犯人と思われる研究者は…

「リョウコ=カンザキ…」
母さんの名前があった。
「母さんが…。何故こんな…」
僕は驚きのあまり、数分口を開けていた。

その時、
「ぎゃー!!」
悲鳴が上がった。
僕は急いで階段を駆け上がる。

光と共に僕の目にさしこんできたのは
「変異体…」
それは、あまりに大きく、人とは言えない。故に巨人。
「こっちへ来る…。」
そう思った時は、もう相手からすれば5歩ぐらいの距離。
4歩。
恐怖で足が動かない。
3歩。
恐怖で思考が働かない。
2歩。
恐怖で音もなくなった。
1歩。
「死ぬ…!!」

『怖がらないで…』

誰かの声が聞こえた。
『大丈夫。目を開いて。』
おそるおそる目を開く…。

全てが止まって見えた。
違う。
止まっている。
『両手をあいつに向けて』
「誰?」
『いずれわかるわ。今はあいつを倒すのが先。』
僕はおそるおそる両手を変異体へ向ける。
『そして唱えて。貴方ならできるから…』
頭の中に、パズルができあがっていくように、呪文のようなものが文字を並べる。
「ヴァスタレイ」
時は動いた。
両手の先に不思議な「何か」が渦巻き、そして変異体へ飛んで行く。

変異体は粉々に砕かれた。


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