Vol.0-2 天使になった闇

僕が『神人類』だって知った日は、食べ物を探している日だった。
そのころの街は本当に『廃墟』だった。
雨が降るたび、大きな音がするたび。
街のどこかが壊れていった。
そのころ僕は生き残った友達と一緒に、町はずれの工場に住んでたんだけど
毎日、2人組で街に行って食べ物を探しにいってたんだ。
その日は僕の当番だった。

街が、まるで戦後みたいでね。
貧富の差が激しかったんだ。
もちろん、僕みたいな子供なんかが金を持ってるわけがなかった。
そんな時代の中、やっぱりあるんだよな。
食料を独占して法外な価格で売りさばく奴。
そんな奴の家に侵入して盗んでたんだ。
いや、もちろん盗みがいい事だと入ってない。
けど、あの時はそんなきれい事をいってる場合じゃなかったんだ。
「あの実験をしてた奴、本気で殺してやりたいよ」
そうやって食べ物が見つからない時に友達がいうたびに、僕は傷ついた。
だけど、その友達の言葉はしょうがなかった。
こんなに苦労してるのは、やっぱり親父、母さんのせいだから。

ちょっと脇道にそれたな。

まぁ、そんなわけで豪邸に侵入したんだ。
警備員はいたけど、警報装置なんてないから侵入は簡単だった。
だから油断したんだ。
まさか、豪邸の中に発電機ができてたなんてさ。
で、2人で捕まったんだ。
でも、そのころの警察なんてほとんど仕事してないのと一緒だからな。
面倒くさがって俺らはなんとか工場に帰る事ができたんだ。
だけど、豪邸の奴は気にくわなかった。まぁ、当たり前だな。
俺たちを再び捕まえて、拷問しやがった。
で、耐えかねた俺がみんなの事しゃべっちゃったんだ。

ただ、恐かったんだ。

それから、警備員が少なくなってから2人で逃げ出したんだ。
たぶん、10分ぐらいかな。
帰ってみたら、みんな死んでたんだ。
みんなの躰に、無数の穴があいてた。

その時だったんだよ。俺の中になにかすごく大きな力が湧いてきたんだ。

でも、そのころはその大きな力を抑えられなかった。

『復讐』

その一言だった。
それしか頭になかった。
次の日、その豪邸はこの世から消えた。
住人と一緒に。
まるでそこに何もなかったように消えた。
そこには人の影はなかった。
もちろん、もう一人の「家族」も…

その後、3日ぐらい気絶してた。
その時拾ってくれたのが、親父さんだった
名はクレイというらしい。
親父さんは優しかった。
何も言わずに俺を育ててくれた。

それから5年。
俺は今、親父さんの遺書を読んでいる。
親父さんは死んだ。



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