Vol.0 クロノハジマリ

僕の中に黒が生まれたのはちょうどそのころだった。
みんなと違う何かが僕にはあった。
僕は普通を望んだ。
僕は無力を望んだんだ。

僕の親父と母さんは研究者だった。
そのころは物質転移の研究をしていた。
研究は順調に進んでいった。
そしてそれは僕の誕生日だった。
実験は成功だった。
転送装置を置いた僕の部屋には、親父と母さんからの
誕生日プレゼントが送られてきた。
その後の試行錯誤の結果、ついに商品化まで考えられたらしい。
これで世の中がもっと便利になれば…。
よく母さんが言っていたのを覚えてる。
親父は昔からあまり話さない人だから相変わらず無口だけど
夜、母さんと嬉しそうに乾杯してたのを知ってた。
次の日、研究室で転送装置の暴走が起きた。

時空が歪んだ。

世界では大異変が起きた。
生物はその大半が絶滅。
人類も約半数が死滅した。

あの事件から3年。2023年。
世界各地で謎の生物『変異体』が現れた。
時にそれは絶滅した動物の姿に酷似し。
時にそれは死に行く人の姿に酷似している。

世界は闇に包まれた。

そのころ、闇に対する光も現れ始めた。
『神人類』の出現である。
変異体に唯一抵抗できる力を持つもの。
世界は彼らにかけるしかなかった。

僕はそのころ、親父と母さんから離れる事ができなかったんだ。
毎日、墓の前に座って泣いてたよ。

前に進む事ができなかったんだよな。
いや、できなかったんじゃない。

しなかっただけだな。



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