第四話 夢の中で踊ろう▼

「ごめんごめん。すっかり寝坊した。」
「もう、遅すぎだよっ!!」
公園の時計を見ると約束の時間より2時間も遅れていた。
「本当にごめん。お詫びにこれ、アイスクリーム。」
「うむ、苦しゅうないぞ。」
そういうとさくらは、俺の手から素早くアイスクリームの入った袋を奪う。
「しかし、本当に好きだな、アイスクリーム。こんな寒い時期によく食べれるよ。」
「だって、おいしいんだもん!」
ま、気の持ち様って事か・・・。
「それでさ、賢治くんの見せたいモノってなに?」
はやくもアイスクリームを一個食べ終わったさくらが、俺に問いかけてくる。
「あ、うん。モノっていうか場所なんだよ。」
「場所?」
「そう。ま、どんな場所かは見てのお楽しみってやつだ。」
「ふーん。じゃ、早く行こうか?」
「えっ?」
みると、俺が買ってきた3個のアイスクリームは、全てさくらのおなかの中に収まっていた。ある意味、尊敬するよ・・・。
「ほら、早く。追いてっちゃうよ!」

駅前の公園からすこし離れた住宅街の隅っこ、ふつうより少し遅れて綺麗に咲く、北海道の桜並木。まだなんにもついてないけどな。
「賢治くんが見せたかった場所って、ここ?」
「いや、もうちょっといったところ。」
北側から3つ目のベンチの裏。すこし道ができたところを入っていく。すると・・・
「うわぁー・・・。」
「ここだよ。昨日俺が見つけたとっておきの場所。」
「すっごく大きい木だね。それに、町も見えるよ。」
「そうそう。どう?」
「すごいねぇ。教えてくれてありがと。」
「おう。2人だけの秘密だぞ?」
「うん。秘密の場所だね。」
それからしばらくさくらは町と巨大樹を交互に見ていた。しばらくして
「ねぇ?」
「うん?なんだ?」
「ここに名前つけない?」
「この場所の名前か?」
「うん。どう?」
「いいんじゃないか?」
「だよね。うーん、どうしよっかな?」
さくらはしばらく悩んだ末、
「精霊の家!!」
「絶対いやだ!!」
「えー、なんでー?すっごくいい名前なのに。」
「かっこわるい。」
「うー。じゃあ賢治くんはどんな名前にしたの?」
「世界樹の場所!!」
「せ、世界樹?」
「うん、世界で一番大きい木だから世界樹。」
「そっか。賢治君がそういうんなら、それでいいや。」
「じゃ、決まりな。ここは世界樹の場所!」
「うん。」

数年間、崩れたパズルの様な夢は、また少しだけ形となった。

第三話へ戻る第五話へ
■番外編-mizuki-■番外編-sakura-■
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送