vol.6 戦

目を開けたら、そこは廃墟だった。
走る。逃げる人たちとは反対に。走る。恐怖に向かって。
自分の力が何かに役立つならば…。一人でも多く救えるなら…。
途中、急に人気のない場所に出る。
と、横道から変異体がでてくる。この前見た奴より小さい。
「ここは私が。」
といってサチが前に立つ。サチが手をかざすと一本の刀が姿を現す。
そして、変異体を両断。それは霧となって消えた。
「急ぐで。時間がない。」
そういって、また走り出す。
数分後、明らかに今までの変異体と異質な奴に出会った。
「情報とちがいますね。」
「そうやなぁ。伍式か。また大物やな。」
「レイ、力使えそうか?」
「おそらく。」
「よし。とりあえず、目を狙うんや。気をつけろ、なかなかすばしっこいで。」
「了解。」
三人が三方向に飛び出す。伍式は散開した目標にとまどう。
俺は自分の中にある『何か』に集中する。ちゃんとダメージを与えられるだろうか?
恐い…。でももう迷わない。これが俺の選んだ道だから。
「行けぇ!」
伍式へ向けて光の閃光が飛んで行く。命中。伍式は大声を上げてひるむ。
「これでとどめやぁ〜!」
拳に光を包んで伍式へ突撃する。そして、消えてなくなった。
「後は雑魚だけや。」
「了解。」

10分後。初めての任務は成功、終了した。
「よぉやった。初めての任務にしては頑張った方やで。」
「…そう。」
その時思った。まだ無機質な変異体ならためらいはない。
だけど、それが人だった時。
俺はためらいもなく殺せるだろうか。正義のため、平和な世界のためと割り切れるだろうか。
俺は基地へ帰る間、ずっとそのことが頭から離れず、震えていた。


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