vol.5 それでも…

朝。気分転換に外へ出てみた。
デリーター…か。
変異体ならともかく、おそらく人も殺すことになるのだろう。

そのとき、躊躇せずに殺せるのだろうか?
「…ここにおったんか?」
「ミサキ。聞いていいか?」
「まぁ、答えられる範囲ならな。」
「人を殺した事はある?」
「…ある。こんな時代や。しゃあないっていえばそれまでやけど、
やっぱり時々、罪の意識にさいなまれることはあるな。」
「…そっか。」
「でも、そんなときはこう思うようにしてる。
『デリーター達を殺すことで、これ以上不幸な人が増えんために俺は戦う。』ってな。

偽善者って言えばそれまでやけどな。」
「…ありがとう。」
「こんな時代、はよ終わらせないかんな…」
「分かってる。」
『レベルレッド発令。第一戦闘配備。』
「レイ、行くで。」
「…了解。」

−作戦司令室−
「姫さん、レイはどうするんや?」
「…レイ君にも戦ってもらいます。いい?」
「了解。」
「変異体は全部で7体。弐式5体、零式2体よ。昨日の爆発があった場所に出現したわ。
おそらく昨日の壱式はダミーね。」
「また豪勢なメンバーやなぁ。その場所、なんかあるんか?」
「そばに軍事研究所があるわ。おそらくO-3破壊が目的ね。」
「…スパイがおったんか。」
「ミサキ、O-3って?」
「政府警察の対変異体二足歩行兵器『オーアーマー』の事や。
神人類じゃない奴でも変異体に対抗できるように作られたロボットみたいなモンや。」
「なるほど、理解できた。」
「すでに東広島第二が迎撃に向かってるけど、O-1では足止めでやっとね。」
「やろうな。」
「なんとしても研究所、及びO-3の破壊だけはさけるように。」
「了解。じゃあ俺とレイ、それとサチで迎撃に向かう。」
「頼むわね。幸運を…」
敬礼をし、司令室を出る。廊下を駆けながらミサキに疑問を投げかける。
「ミサキ、移動手段は?」
「…テレポーターを使う。」
「!テレポーターってもしかして…」
「そう。物質転送装置の改良版や。」
「そんな…。あれは完成しなかったはず。それにあれのせいで」
世界がおかしくなったんじゃ…
「いや、世界がこんなになったんはあれのせいじゃないんや。
まぁ、その話は帰ってからやってやる。今は急ぐで。」
それからテレポーターのある部屋まで会話を交わすことなく走り続けた。
部屋にはいると制服を着た一人の女性が立っていた。
「ミサキ少佐。テレポーターの座標セット完了しました。いつでも出動可能です。」
「了解。でもな、俺の前でそんな畏まらんでええよ。」
「…それもそうね。」
「順応はやっ!」
「ミサキ。誰?」
「あぁ、こいつがサチや。ちなみに大尉な。」
「サチ=ブレスリングよ。よろしくね。」
「よろしくお願いします。」
「よし、自己紹介も済んだことやし、出動や。」
「了解!」


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