vol.3 理由

倉庫…?だよな。
つれてこられたのは、港の埠頭に並ぶ倉庫のひとつだった。
「ここになにかあるのか?」
「まぁ、何も言わずについてきてや。」
重い音が鳴り響き、倉庫の扉が開く。
材木や、何かの箱が置かれてる普通の倉庫だ。
と、スキマに扉が見えてきた。ミサキは扉の横にある機械にカードキーを通す。
扉の奥は、エレベーターだった。
「アンダーグラウンド?まだ残ってたのか…」
「おう。元々政府のもんやったんを、支給してもらったんや。」
「すごいな。その女の子は。」
そうこう言っている内に、エレベーターは動き出した。
「そろそろ教えてくれてもいいんじゃないか?」
「ん?なにを?」
「ミサキの素性だよ。」
「だから、神人類の一人やって…」
「じゃあさっきまで後をつけてた奴らは誰だ?」
「…気づいてたんか?」
「公園を出た辺りからな。」
「大丈夫や。レイに危害を加えるつもりはないから。俺らの素性も、姫さんに会えば…」
その時。『ドーンッ』と大きい音が鳴り、激しく揺れる。エレベーターの電気が消えた。
しばらくして、光がもどる。エレベーターも動き出した。そしてコンピューターが状況を知らせる。
『レベル3の振動を関知しましたので低速で運転しています。』
と、ミサキは
「なにがあったんや?」
『旧市街で原因不明の爆発が発生しています。政府警察は警戒レベルオレンジで待機中。』
「原因不明ってのは、どういうことや?」
『未確認情報が多すぎて、原因を確定できません。』
「そか。何かわかったら教えてくれ。」
『かしこまりました。』
「さすが、政府の施設。金がかかってるな。」
「それは誉めてんのか?嫌みなのか?」
「両方。」
「そか…。」
5分ぐらいたったか、エレベーターが止まった。
扉を開くと、そこは地上とは違う空間が広がっていた。
色々と機械が並ぶ。綺麗な服装の人たちが行き交いする。
世界崩壊前の街をそのまま地下へ持ってきた。そんな例えがちょうどいいだろう。
やがて奥の部屋にたどり着く。
「ミサキです。ターゲットをつれて参りました。」
「入りなさい。」
「失礼します。」
中には数人の護衛兵らしき人たちに囲まれて、一人の少女がいた。
「はじめまして。いや、お久しぶりと言った方がいいかしら?」
「…好きにしたらいい。」
「あら、素っ気ないわね。まあいいわ。」
少女は立ち上がり自己紹介を始める。
「政府警察本部所属、シオリ=アマヅキ、中将よ。」
「レイ=カンザキだ。」
「…完全な覚醒はまだ見たいね。」
「そやな。まぁ、こればっかりはしゃーない。」
「ひとつ、質問していいか?」
「どうぞ。」
「俺をどうする気だ?」
「…一緒に戦って欲しいの。ある目的のために。」
「ある目的。」
「そう。『デリーター』を倒すために。」


|次

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送